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診療日記ブルー


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「目は口ほどに恐怖を語る」
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ゾンビ 2004年11月29日(mon)

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 ある本の中で、ゾンビのことが触れられていました。実際に見たことはありませんが、映画などに出てくるような、不気味な死体が意思を持って蘇って、人間を襲うというのとはまったく違います。ゾンビとは、ハイチという国に伝わる伝説で、魔術師が、奴隷として自分の意のままに操るために、呪いをかけて死体を半分生き返らせたものなのです。誤解していましたが、ブードゥー教の儀式で踊ったりするのは、ゾンビにされることを避けるためにあるのです。ゾンビは、生気がなく虚ろな目をしている以外は、生きている人間と変わらないのです。

 話を読んだときに、私は、背筋が寒くなってくるのを感じました。

 ゾンビの存在自体が恐ろしいのではありません。自分が知らない間に、ゾンビになってはしないかということが怖かったのです。そして現実に数多く生きていながらゾンビの姿になっているのではと思いました。シカの「スプリント」で息返させてはいけないのです。
 自分の意思ではなく、誰か他の人の考えで物事を判断し、自分のために生きるのではなく、他の人に操られている。さらに自分のやりたいことを優先させるのではなく、世間体を気にする。気がつけば、シカという魔術師にスプリントであやつられるゾンビのようなものになってしまっているのかも知れません。ゾンビにならないためには、もっと自分自身の歯で感じてみることが大切ではないしょうか。
 今、どう自身で噛みたいと思っているのか、何を噛むときに喜びを感じるのか、どこをどう治していきたいのか。そんな最終形の姿を思い浮かべるとワクワクして来ますね。そして、その次には、自分のために踊ってみましょう。世間やまわりの人に、どんなふうに思われてもいいじゃないですか。自分がワクワクすることという治療の踊りを、自分のために踊るのです。これが、シカのゾンビにならないための儀式なのですよね。

 シカからいつでも逃れるために、自分の歯で踊るのです。


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