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診療日記ブルー


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更新履歴
2005/01/22
粘膜干渉
2005/01/21
論より証拠
2005/01/20
口腔内ストレスの恐怖
2005/01/19
偽札
2005/01/18
咬合圧の変化が痛みに及ぼす影
2005/01/17
遅らせる声
2005/01/16
最善をつくす。
2005/01/15
絶対音感
2005/01/14
「目は口ほどに恐怖を語る」
2005/01/13
Tron

↓以前の日記

ブラックジャック 2004年12月02日(thu)

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人間の痛みは、痛みの知覚神経によって伝達され、脊髄後角から延髄、中脳、自律神経などを調整する視床を通り、大脳で認知されます。しかし、伝わり方は同じでも、痛みの感じ方はさまざまです。なぜ、このようなことが起こるのかというと、「下行性疼痛抑制系」という痛みをコントロールするシステムの働き方によって感じ方が変わってくるからです。そこでは、「セロトニン」と「ノルアドレナリン」という物質が、痛みを調節していることが分かっています。セロトニンとノルアドレナリンは、神経伝達物質という体内に備わる物質の一つで、脳からこれらが多く出ている時は痛みを感じにくく、脳からの分泌が少なくなっている場合には、痛みを何倍にも感じてしまう仕組みになっています。
 国際疼痛学会は、痛みを「組織の実質的あるいは潜在的な傷害に結びつくか、このような傷害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚、情動体験」と定義しています。この定義に基づき、ぶつけたり、転んだり、つねった痛さを「感覚としての痛み」、痛みに伴うさまざまな感情、感情に伴って起きた痛みは「感情としての痛み」として考えています。
 人は、絶望感・恐怖・怒り・不安・無力感・抑うつ感などを感じている時、痛みをより感じやすい状態になっています。また、このような感情的なものではなく、身体が非常に疲れている・眠れない・不快・孤独・運動不足など肉体的な理由のある場合も、通常より痛みを感じやすい状態といえます。特に「怒り」という感情は、人格の評価にもつながりなかなか表現されにくいため、その感情をうまくコントロールできないと、痛みは激しくなるとも考えられます。これは、家族や周囲に理解してもらえないという社会不信や医療不信などからくる場合もあります。
 逆に、痛みを軽くするためには、希望を抱く・休息をとる・睡眠をしっかりとる・緊張を緩和する・リラックスする・気分転換するなどが効果的です。
 この他にも、抗不安薬や抗うつ薬を使うと痛みが軽減することもあります。人間の痛みは、さまざまな感情の持ち方や体のコンディション、使用する薬によって痛みが強く感じられたり、軽くなったりします。


http://blackjack.jp/ 訪問診療を受け入れている、医院の体制は整っているからだ。すぐ近くの総合病院からのいつもの依頼を受けて訪問のため往診に出かける。寝たきりの老人たちの歯の治療へ直接出向いていくわけだ、彼らのほとんどは自力で起き上がれない。その中で比較的健康な方から順に依頼がくるのである。依頼の内容は、すでに多くの歯は失ったため、主に義歯の修理や新製作、調整など欠損部分の回復が仕事である。

 最近大病院では、合理化の影響でまず多数ある診療科目のなかで最初に歯科を閉鎖する、予算を削減するためだ。不採算な所から順当にカットすることは経営的にみて極めて当然である、経営者であれば誰でも納得するだろう。歯科は、売り上げ以上に特殊な歯科材料やホテツ技工代など多くの経費がかかる。収支は保険のみだと相当苦しい。だから、大病院でも、歯科があるところは本当に少ない。赤字をかかえてまでも維持をするメリットが経営上感じられないからである。しかし、それは残念なことに、国民の総医療費を結果上げていくことになり、同時に元気な人は負担になり、病気の人は歯から健康を損なうことになる。
 
 エンジンや印象の用意などの荷物をカートに積み、別に二人のスタッフをつれて車で5分ばかりいくと、目的地の総合病院である。話を聞くと家族が、ものが噛めないから入れ歯を作ってほしいと願っている。病室に入りベットサイドにつくと、家族から依頼された歯のない老人は、どうも生きる勢いが顔からみられない。そのまま治療しようとするも、家族の願いとは裏腹に歯の治療を静かに拒否する。もうこれ以上病気の私にかまわないで欲しい、そっと静かにして欲しいという心からのメッセイジを全身で表現するなかに感じ取った。しばらく、交渉をしてはみたが、病人が協力的でないとかえって歯科治療は危険である故に、よく家族で話し合いしてから、連絡をもらうようにその場は立ち去った。 いまや、訪問の設備は大変便利で物は優れているし普段の治療の行なえないものはないほど充実し整っている。携帯用のタービンで歯の周りをぐるぐる削れるほどだ。しかし、歯の治療はつくづく思う、
 「身体の悪い人には、よくなる治療でも耐えられないのだと」身体が悪ければ、本当には歯の治療はできないのだ。すべて、その場かぎりの応急処置にすぎない現実に直面する。

 歯を悪くして、寝たきりの人のお口の状態は、歯がすべて「つるつる」で溝がない。シカで人為的に歯の山を削られている人は大変だ。山の高さを落とされている人は、気がつかないうちに体力を消耗させられ、やがて気がついたときは、歯科ではなく大病院へ運び込まれるのである。そして、歯科と全身は接点がない。大半の人は、偏位している。しかし、噛ませる元気がなければ、噛むことで偏位を修正できない。偏位は噛ませてとるが、シカに技術もないから、説得力も付与しない。
ある入院患者の家族からは、自費でご主人によい入れ歯を入れて欲しいと言う。私は、即座に保険で大丈夫と申し出た。今後健康を回復し退院すれば、病気の今作っても合わなくなりますよと説明した。入院中に高価な治療を家族が希望するときは、また別に意味があるときがある。その先、詳しくは言及しなかった。
「入れ歯をはずすと、血圧があがることを誰も知らない」看護婦さんへ、入れ歯はできるだけ入れておいてくださいとアドバイスするのが精一杯だ。入院中にすべての入れ歯がはずされ、合わなくなっている事実を知らない。ブリッジではどうかというと、外れたブリッジを治しにいく前に、命を落としている。歯と身体が同時に停止するのだ。
 歯の形が悪いからもしかして、治す心が生まれないのからもしれない。魂(心)が望んでいなければ、治すことができないのです。元気で生活していることに感謝すべきだが、歯を治せない人も多い。もしかすると、無意識の部分で歯の形が心を操作しているのかもしれない。
 健常者でも歯の悪い人ほど、治せないのだから、、。

 ブラックジャックは、漫画の世界だ、困っている人をみれば、高額な報酬は「技術の有無」にかかわらず請求できない。


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