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診療日記ブルー


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更新履歴
2005/01/22
粘膜干渉
2005/01/21
論より証拠
2005/01/20
口腔内ストレスの恐怖
2005/01/19
偽札
2005/01/18
咬合圧の変化が痛みに及ぼす影
2005/01/17
遅らせる声
2005/01/16
最善をつくす。
2005/01/15
絶対音感
2005/01/14
「目は口ほどに恐怖を語る」
2005/01/13
Tron

↓以前の日記

エレファントマン 2004年08月15日(sun)

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 難病「レックリングハウゼン病」によって異形な姿となった、実在した青年がモデルの苦難に満ちた一生を描いた物語。ジョン・メリックはその醜い姿から家族から疎まれ、継母から酷い折檻を受ける。耐えきれなくなった彼は家を飛び出し、サム・トーという興行師との出逢いにより見せ物小屋のスターになるが、見せ物小屋を取り締まる警察などによって経営自体が行き詰まり、メリックは事実上失業となってしまう。しかし、彼のうわさを聞いたロンドン病院の医師フレデリック・トリーブスは彼を見つけだし、保護する。彼はメリックに病院の個室を与え、生活を全て請け負った。
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まだ7、8歳の頃、無理矢理母親に連れていかれたのを覚えています。本作がモノクロ作品であることもあって、当時はなんて地味で暗い映画なのだろうと思いました。あまり面白くなかった印象があります。まぁ、その歳の子供にこういう映画を観ろという方が無理があるような気がしますが。ただ、ラストでメリックが "I am not an animal. I am a human being! (僕は動物じゃない。僕は人間だ!)" と叫ぶ姿はかなりインパクトがありました。本作は徹底的にメリックを見る人間の側から撮られていて(メリックが見せ物小屋に入る時、入いる所でなく入ってくるところを写す、等)、相手によって態度がコロコロ変わる人間に対する批判を感じることができます。本作が実話を元にしているのでなおさらです。テーマがヘヴィなので娯楽性には乏しいですが、考えさせられる作品です。


 最近症例の発表をおこなった、過去における典型的なある症例をスライドでお見せした。1症例で80枚以上のスライドだが、説明不足であれば次回続きを再度お願いしたい。
 研修会の題材は、春日部の精神科の先生に依頼して、鑑別の仕方や取り扱い方である。精神疾患をともなう方へのシカの対応という表題である。私が一番知りたかったことは何かということだが、明確になった。それは医学の先生や精神疾患を専門に扱う先生は、歯に関してほとんど何も知らない状況であり、それが特に問題にされることもなく、ごく普通のことである。「歯はわかりません」という先生の正直な答えにむしろ潔さに好感を持てた。これは実に予想通りである。歯と身体とくに脳への影響は、専門性の高い精神科でも、歯との関連性においてまったく手つかずの状態なのである。

 私は日々歯の治療をするが、実際の診療は何ら特別なことをするわけではない。たまたまそのようなかたが、行き場を失いさまよってしまう。日本全国津々浦々、時には海外からも飛行機に乗って治療の依頼に来るかたがいる。顎関節疾患の原因が歯であるのに、ストレスや精神的な疾患として露骨に転換させられてしまうケースをよくみかける。前医への不信感の一つには、症状を訴えれば訴えるほど、「誤診」されてしまうと一様に声を揃える。「歯からくるストレス」がDr.がわからければ、この人は歯に異様にこだわりを持ち、歯の形状に固執してしまう人という眼でしかみられない。精神的な疾患の病名をレッテルとして貼られてしまう。シカの治療が原因で、常時入れられたシカの補綴物がストレスを作り出すなんていう発想はない。私の発表時の歯科医師からの質問は実におもしろい。なぜなら自分のシカエリアから超えた状況では、頭が冷静とはいかないらしい。逆に質問の内容でその人の歯と脳の知識が読み取れる。それでもこのような勉強会に出てきている人はみなさん十分研究熱心なまじめなかた達である。私の話を聞いた内容は、ショッキングである、到底シカは「賛同はできない」だろう。ただただ受け入れられないカルチャーショックだけでなく、「正しい治療」が理解できないショックが大きかったかもしれない。

 シカのなかで、色眼鏡のフィルターを持てば、さまざまな憶測が駆け巡る。私の純粋な気持ちで症例を提示しても、EBMを中心に考えるシカの範囲で物事を考えれば、けっして収めることはできない。HPのホワイトで掲載されているレベルの診療内容は、毎日行う私の治療のなかではごく普通の内容である。けっして相手を区別しての「特殊レベル」の診療ではない。ようするに私にとって相手が誰だろうと、区別することなくごく当たり前の方法であるのがポイントである。しかしシカはまるで「奇異なもの」をお相手にミルかのように見ている。お相手によってころころ変えてしまう人間たちを見ているのは、いざ自分が発表する立場にいれば、はっきり鮮明に見えるが、けっして立場にいる人間には心地よいとは思わないだろう。
 "You are not a doctor.You are dentist."
そのシカの質問は私にそう問いかけているように響く。シカにはまだ歯の重要性と認知するにはまだ時間がかかるということが、そして自分のなかで再確認できたことが、唯一収穫であった。
今後も機会があれば、何度でも繰り返し症例を発表させていただく。そのことで歯科の治療レベルの向上と歯科全体底上げになるのであれば、とてもうれしい。
   
  すべては、シカの発展とKr.のために。
 この話が最初奇異な眼で見られているが、当たり前になるのはいつの時代だろうか?
 


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