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診療日記ブルー


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「目は口ほどに恐怖を語る」
2005/01/13
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1枚の写真 2004年06月26日(sat)

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 映画の中では、、テープで録音するwalkmanが時代を遡り過去の失っていた欠落した部分を埋める役割を担っていた。現代の携帯メイルやチャットの時代に、いまの中学生はカセットを見たことがない人も増えました。

 破線のように白くぼやけたいた輪郭が、記憶の断片を拾いあわせ、つなぎあわせれば、少しずつしっかりとした太い実線となり、やがて現実によみがえる。
 みようとしなければ、けっしてみることができないのです。そして何ら努力しなければ、結実しません。

 写真は生きているときの過去の断片です、しかし1枚の写真で現実の像が浮かび上がるのです。忘れていた記憶を呼び起こし、本人にしかわからない大事な意味のあることもあります。

 歯でいえば、過去の記憶は過去歴として歯の表面にすべて現れているのです。よく模型をとるとき、寝てとるときと、起きてとるときとは型が違うことは、すでにご存知だと思います。いすの背板に背中がついているだけで、背骨の伸びがかわり、頸椎から噛み合わせが変わるからです。そのような眼にみえない変化は1日中恒常性を持って行われています。運動した時もそうですし、また1日のうちでも朝と夜では時間の経過でまた違います。夕方靴を買いにいってはいけないのは、噛み合わせと同じ現象だからです。口の粘膜は加圧により容易に変形し、それと連動して骨や歯も移動します。
 調整するときも同じ現象です。寝ているとき、起きているとき、座っているとき、頭の位置が違っていれば、すべて歯の当たり方が違うのです。
 「毎回あたりかたが違うから、大変!」シカではそうでしょう。
 でも違っていていいのです。可変をすみやかに身体は最大限利用するのです。
 「1枚の写真」と同じように、現実が正しく浮かび上がるのです。シカは陰をみています、そして陰を治療しています。みえない「実像」がみえていません。みえない人にはまるで幽霊でも見ているからのように不思議なようです。見る目を持てばあぶり出しのように、見えていなかったものがはっきりと見えてくるのですから。
 いつまでも記憶に残りたい、私のことを忘れないように、衣装に着替えて写真に託したのです、「私」を忘れられるのが怖いのです。
 そんなシカ治療は、次第に不鮮明に消えそうになるのを精一杯がまんして、点線を実線にあなたの頭のなかで組み立てる作業をしいられます。しかし現状はあまりに機能不足です、やがて忘れられた存在になったとき、シカからの逆襲が始まるのです。

写真が一瞬のように撮られるように、現実感として瞬(またた)くのほんの一瞬です。しかししっかりと認識できる事実です。


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