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診療日記ブルー


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咬頭接触 2004年04月30日(fri)

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 咬頭接触は横断面から見て頬側から舌側にかけてそれぞれ順にa.b.cと接触点があります。そして上下の咬合の面と面が当るポイントはb点だけです。溝の部分は隆線の織り成す球面と球面の窪みです、単に線を引いたミゾではないのです。そして接触する咬合点は自然の造り上げた見事な美しい湾曲の優れた上下の曲面との接点なのです。シカの補綴で咬合面の接触点?が面形状につぶれているケースをよくみます。新規に製作された技工物においてもテクニシャンがエバンスで直線を引いたミゾの場合も多くあります。これは間違いです、身体には直線はありません。ですからそのように作られているものを装着すれば、噛む所が潰れているのですから、本人はただちに強く潰す動きすなわち噛み締めするしかありません。恐るべきことに無意識のうちに連動してすべての動きが一連の動作の中で行われるわけですから何故上噛み締めしているか本人はわかりません。緊張と解くように接触の形状を変えればすぐ治ります。つまり形状が機能を作り、また機能が形状を作るのです。どんな場合でもあらゆる環境同士良くも悪くも相互に影響しあうのものなのです。自然な噛む面は、溝を含めあらゆる形を気の遠くなるほどゆっくりに時間をかけて年齢とともに形をつねに変化させていきます。時間と空間と言う概念がシカにはありません。
 
 咬頭頂はけっしてあたりません、溝の中に入るからです。咬頭頂はもっとも敏感でセンサーです。溝を塞がれ入ることができなければ、歯を合わせようとしません。シカではよくみられますが、歯同士は接触していても、まともには噛んでいないのです。また避ける動きもしています、全体で当てようとしても同時に1本だけ噛まないようにすることが口腔内では可能です。
 歯の萌出時一時的に溝が黒くなるのは、正しい位置関係に歯を誘導するため負荷がかかり、ねじれにより咬頭間が応力で開くためであり、またファセットのない真新しい咬頭の形に顎が動くため、幼少期から未成熟だった関節が歯とともにできあがるのです。だから溝は埋めてはならないのです。埋められてしまった子供は噛めることが一生できないのです、なにしろ肝心な時期に顎を完成させらなかったからです。出来上がりをさまたげるものそれがシカなのです。
 シカの治療で日常行われている歯のインレーをみるとよくわかります、歯の成長がその入れられた時期でストップしている例をよく見るからです。過蓋(かがい)咬合は噛みこみすぎなのではなく、単に歯槽骨ができなかったために低くみえるのであり、顎が歯の萌出と協調してできなかったのです、もうおわかりでしょうが、理由は早期なシカ治療であるのです。
 歯は最後まで長い経過を経て結果がすべて残るのです。でもそれでは身体がたまりません。だから身体に害を有するものはさまざまな形で排除しようとします、辻褄の合わないものは消えていく運命です。すべて溝のかかっています。
 古来から絶えることのないゆるやかな自然の営みを溝の流れに肌で脈々と感じるのです。
 


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