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足りない咬頭 2004年05月09日(sun)

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 ムシバのために銀歯のインレーを入れるために、歯を削り窩洞形成をして型を取ってセットする。
うまい早い安い、どこかで聞いたことがある台詞である。この場合シカ的うまいとは、噛む時に高くないすなわち足りない咬頭のことを示す。入れられた当人に聞いてもけっして高いとか当るとは言わない。すなわちうまいインレーは高さの調整が入らないからだ。お気軽なシカインレーは当たり前である、最初から当てて作っていない。そしてその指示は確実にシカDR.からの要望だ。「なるべく低く」作れと指示されている。歯は軸面で高さを認識する。すなわち一旦接触させてから当りの方向で認識作業をする、当る所がなければ、顎が挙動不振になってでも無理やり当てにいく。距離を測りにいくようなものだ、距離感の不明なものはとても不安だからだ。しかし入れられた当人は違和感はほとんど感じない、入れたシカは確実に滑っていることに気がつかない。
 「眼には見えない量だし、感覚に感じさせない量」である。何度も言うように、偏位の量の大きさではなく、偏位の質的レベルの異常性のほうがより問題を引き起こすのである。
 もし当人が気がついた場合注意して欲しい、何故なら一生懸命に滑らないように当てている窩洞の回りをさらにまたシカで削られるからだ。赤くつく点は削ってはいけない、より挙動が大きくなるからだ。しっかり止まるべきストッパーがないから、本来あるべきストッパー其の周りをぐるぐる回る、回った周りに趾がつく、そしてそれをシカがまた落す悪循環だ。
そのようなレベルのインレーを入れる限り、軌道の修正技術は持ち合わせていない、すなわちシカでは調整させてはいけないのだ。

 ほとんど逆の余計なことをしでかし、問題を大きくさせてしまう。入れられたインレーの技術レベルを判断してから、あなたは相手に主張すべきだ。相手の技術判断を間違ってインレーが変だとうっかり言えば、悲惨な結末を待つからだ。歯と顎はつながっている、歯が不審な動きであれば、顎の動きも同等だ。その滑りが次の展開へ行く。よく憶えおいて欲しい、インレーほど恐いものはない、問題に気がつきにくいし、さらなる問題の発覚までにさらなる時間がかかる。気がついても、気がつかなくてもどちらにしてもシカでは大変な結果である。

 インレーを入れる一番多い年代を考えてみて欲しい。c1,c2など比較的軽度な初期ムシバを作る年代は、いわゆる顎関節症状の多い10代と一致することに気がつく。若い健全な顎ほど敏感に反応するから、間違って設定されたインレーは影響力が恐ろしいほど強いのだ。

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