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歯根病巣 2004年10月11日(mon)

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 小臼歯の神経をとられてしまった方のお話を続けたいと思います。右下の小臼歯の神経をとられ、おまけに大きな銀歯が入っていました。そもそもは、前回の方と同じように、「歯が少ししみるから」という理由で歯科医院に行ったそうです。見た目には異常はないので、レントゲンをとって調べましょう、ということになったそうです。そして、レントゲンをとった結果、その歯の根の先に病変の黒い影が・・・。

 そのレントゲンを見せながら、「病気があるんだから神経をとるしかないでしょう」と説明をし、麻酔をして神経をとったそうです。

 ここまでで、明らかにおかしいところがあります。それは、『神経が生きているのに、根の先に病変ができることはない』という事実に反している部分です。
根の先に病変ができるのは、神経が死んでいる歯に限ります。例外として神経が急性のひどい炎症を起こしているときに、根の先の歯根膜が拡大し、やや陰影を帯びることも稀にありますが、、。この方の場合、歯がしみていたのですから、「神経は生きていた」ということになります。

 これは「麻酔をした」ことからも明らかです。通常、根の先の病変を治療する場合、もう死んだ歯ですから、削っても痛みは出ないので、麻酔をする必要はありません。
 では、当初この歯科医師が根の病変と間違えたのは何だったのでしょう??

 『オトガイ孔(おとがいこう)』というものがあります。これは、下アゴの骨にあって、神経と血管の出入りする穴です。位置的には、ちょうど小臼歯の根の先の周辺にあります。
 レントゲンの撮影時の角度によっては、根の先と重なって写ることもあります。もちろん、まったく正常な構造物です今回の歯科医師のように、正常な状態を病的な状態と間違えるなんていうのは、あまりにも酷すぎると思います。ましてや『オトガイ孔』は、ランドマークのなかでも『基本中の基本』です。


私の解釈は少し、違います。
 シカ開業医ですから、歯にかんしては、右も左もわからないまったくの新人ではありません。少なくても開業前に十分研鑽(失敗?)を積んでいるのです。そうでなけれは、銀行もお金を貸してくれません。お店を構えるということは、少なくてもある程度自信があり、世間から耐えられるレベルに違いありません。そのような基本の基本を毎回間違えるわけにはいきません。

まず、神経が凍みるということに着目します。

そして大学で習う一般的な解釈は確かに教えられた通りであるとすると、「生きている神経には黒い影ができない」と習います。死んでいる歯(失活歯)には、膿みがたまり、骨が吸収され丸く黒い影ができると教科書的に、教わりそれはそれでもちろんあっています。

 しかし、臨床で経験を積めば、ムシ歯がなくても凍みる歯は多数存在します。そして、生きている歯(生活歯)でなくでも、黒い影が存在します、もちろん『オトガイ孔』ではありません。常識に囚(とら)われているため、肝心な主訴を生かす治療を行えません。もちろん神経を抜く抜髄の処置では、ありません。そしてその凍みる健全歯が原因ではないのです。

 大きな視野でみえれば、あきらかです。反対側が原因なのです。左右は繋がっているからです。身体にみえる症状を起こす所は、必要「最小限」にあえて押さえこんでいます。つまり、もっと大きな問題が隠されていても、生体が無意識に起こしている防御反応のおかげで、常に小さな症状にとどめているのです。
 
 Kr.の主訴の治療をするわけですが、その凍みる歯を治療してはいけないのです。先にしておかないければならない所があるのです。凍みる歯を触ったとたんに、さらに偏位していくのです。黒い影は、生活歯にもできます。そして、凍みる歯は出来る限りの力で耐えているのです。揺らされている歯根相当における歯槽骨部分は、骨を吸収させられます。つまり、歯冠から歯根にかけて回転するモーメントが働いています。このローリングを改善させることなのです。症状はここから来ています。
 
 神経を抜かれたかたは、お気の毒ですが、凍みるからと言って健全な歯の正しい神経を抜いてはいけません。「おまけに大きな銀歯」が現在の診断学のないシカによる治療を代表しています。それが、また新たな歪みを呼ぶのです、だから、永遠に終わりません。シカにかかれば、一生をかけて歯が無くなるか、もしくは、歯は壊れてくれなければ、身体が辛いままなのか、どちらか選ばせる究極の2者選択をするしかないのです。

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